milvus OSS
MilvusはZilliz社が開発したオープンソースのベクトルデータベース。Apache 2.0ライセンスで完全無料。RAGやAI検索アプリに必要な「意味の近さで検索する」仕組みを数十億件規模で高速処理できる点が最大の特徴。
spec — 基本情報
| github_stars | 45.2k |
|---|---|
| pricing | OSSは完全無料(Apache 2.0) / マネージドサービス「Zilliz Cloud」はFree Tier(5GB・月2.5M vCU)あり / 詳細は公式サイト参照 |
| license | Apache-2.0 |
| japanese | 不明 |
概要
Milvusは、Zilliz社が開発しLinux Foundation(LF AI & Data Foundation)に寄贈したオープンソースのベクトルデータベース(ベクトル=AIが文章・画像・音声を数値の羅列に変換したもの)です。Apache 2.0ライセンスのもと、ライセンス料・利用制限なしで商用利用も含めて完全無料で使えます。GitHubのスター数は4万以上を誇り、オープンソースのベクトルDB分野で最も人気の高いプロジェクトです。ARM・NVIDIA・AMD・Intel・Meta・IBM・Microsoft・Alibaba・Salesforceなどの企業のエンジニアがコアコントリビューターとして開発に参加しています。
生成AI・RAG(手持ちの資料をAIに読ませて答えさせる仕組み)・画像検索・レコメンドエンジンなど、「意味の近さで探す」処理が必要なAIアプリケーションのバックエンドとして注目されています。2026年5月にはMilvus 3.0のリリース候補版が公開され、データレイク連携や外部コレクション・スナップショット機能など次世代の機能が追加されました。ローカルのPythonスクリプトから、数十億件規模の分散クラスターまで、同じAPIで段階的にスケールアップできる設計が個人開発者からエンタープライズまで幅広く選ばれる理由です。
主な機能
- 3段階のデプロイモード(Lite / Standalone / Distributed):
pip install pymilvusだけで動く「Milvus Lite」でJupyter Notebookからすぐ試せる。Dockerで立ち上げる「Standalone」は1台のマシンで最大1億ベクトル規模に対応。本番大規模は「Distributed」でKubernetes上に展開でき、クエリノード・データノードを独立してスケールアップできる。 - ハイブリッド検索(意味検索+全文キーワード検索): 意味の近さで探す「セマンティック検索」と、キーワードで探す「BM25全文検索」を1つのコレクション(テーブル)内で同時に使える。以前はElasticsearchとベクトルDBを2つ運用していたところを、Milvus1つに集約できる。
- 10種以上のインデックスタイプとGPU加速: HNSW・IVF・FLAT・SCANN・DiskANNなど用途に応じたインデックス(索引の作り方)を選択可能。NVIDIAのCUDA技術を使ったGPUインデックス(CAGRA)により、ベクトル検索を大幅に高速化できる。
- メタデータフィルタリング&範囲検索: ベクトル検索に加え、数値・文字列・JSON・配列などの属性で絞り込み検索が可能。「カテゴリが『料理』かつ意味が近い記事」のような複合条件検索ができる。
- ホット/コールドストレージによるコスト最適化: よく使うデータはメモリやSSDに、あまり使わないデータは低コストのオブジェクトストレージに自動で振り分ける仕組みを持つ。大量データを保持しながらコストを抑えられる。
- マルチテナント対応: データベース・コレクション・パーティションなど複数レベルでの分離をサポート。1つのクラスターで数百〜数百万のテナント(利用者グループ)を管理できる。
- セキュリティ機能(認証・暗号化・RBAC): ユーザー認証・TLS暗号化・ロールベースのアクセス制御(RBAC=役割ごとに操作権限を設定する仕組み)を標準搭載。エンタープライズ用途でも安全に利用できる。
料金プラン
| プラン | 費用 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Milvus OSS(自己ホスト) | 完全無料 | Apache 2.0ライセンス。サーバー・クラウドのインフラコストのみ負担。ライセンス料・ベクトル数制限なし。 |
| Zilliz Cloud Free Tier | 無料 | 5GBストレージ・月2.5M vCU(仮想コンピューティングユニット)・最大2コレクション・1Mベクトルまで。学習・個人プロジェクト向け。 |
| Zilliz Cloud Serverless | 従量課金 | 使った分だけ課金。vCU単価・ストレージ単価(2026年から$0.04/GB/月に統一)で計算。詳細は公式サイト参照。 |
| Zilliz Cloud Dedicated | 要見積もり | 専有クラスターを確保。本番・エンタープライズ向け。詳細は公式サイト参照。 |
| Zilliz Cloud Business Critical | 要問い合わせ | コンプライアンス・セキュリティ要件が厳しい企業向け。詳細は公式サイト参照。 |
> 💡 ポイント: Milvus本体はOSSなので無料。クラウドで楽に使いたい場合のマネージドサービスが「Zilliz Cloud」。Free Tierは500K件以下のベクトル規模のRAGプロトタイプなら数ヶ月は無料枠で動かせるとされています(公式より)。
導入方法
① 最速:Milvus Lite(Python・ローカルのみ)
Python 3.8以上の環境で以下の1行を実行するだけで使い始められます。
pip install -U pymilvus
その後、Pythonコード内でローカルファイルを指定してDBを作成します。
from pymilvus import MilvusClient
client = MilvusClient("milvus_demo.db") # ローカルファイルにデータ保存
client.create_collection(collection_name="my_collection", dimension=768)
Jupyter Notebookでもそのまま動作します。Google Colabでも利用可能です。
② 本番向け:Docker(Standalone)
Dockerがインストールされた環境で、公式スクリプトを使って1コマンドで起動できます。
# インストールスクリプトをダウンロード
curl -sfL https://raw.githubusercontent.com/milvus-io/milvus/master/scripts/standalone_embed.sh -o standalone_embed.sh
# Dockerコンテナを起動
bash standalone_embed.sh start
起動後は http://127.0.0.1:9091/webui/ でブラウザからWeb UIにアクセスして管理できます。
③ スケールアップ:Docker Compose
# 設定ファイルをダウンロード
wget https://github.com/milvus-io/milvus/releases/download/v3.0-beta/milvus-standalone-docker-compose.yml -O docker-compose.yml
# 起動
sudo docker compose up -d
④ コードを変えずにクラウドへ移行
Milvus Lite・Standalone・Distributedはすべて同じAPIを共有しているため、接続先URIを変えるだけでクラウド(Zilliz Cloud)に移行できます。
client = MilvusClient(uri="http://localhost:19530", token="root:Milvus")
こんな人におすすめ
- RAGアプリを自分で作りたい個人開発者:
pip install pymilvusの1行で始められるMilvus Liteが最適な入り口。Jupyter NotebookやGoogle Colabでそのまま動くため、AIチャットボットや社内文書検索を手軽にプロトタイプできる。 - 画像・動画・音楽の類似検索サービスを作りたい人: 「この画像に似た画像を探す」「この曲に雰囲気が似た曲を探す」といった非テキスト系のAI機能の実装基盤として使える。
- コスト管理を重視するスタートアップ・個人: OSSなのでソフトウェアコストはゼロ。自前のVPSやクラウドインフラに載せれば、ベクトル数・クエリ数に関係なく追加のライセンス料は発生しない。
- 将来的に大規模スケールを見越したチーム: 小さくMilvus Liteで始め、コードを変えずDockerのStandalone、さらにKubernetes分散クラスターへと段階的にスケールアップできる設計のため、成長に合わせて無理なく移行できる。
よくある質問
Q. プログラミング初心者でも使えますか? A. Milvus Liteはpip install pymilvusの1行とPythonの数行で動き始めます。ただしベクトルDBの概念(エンベディング・インデックスなど)の基礎知識があるとスムーズです。公式ドキュメントのQuickstartは日本語学習リソースも充実しています。
Q. 無料で商用アプリに使えますか? A. はい。Milvus本体はApache 2.0ライセンスのため、商用利用を含めて制限なく無料で使えます。自前でサーバーを用意する場合のインフラコストのみが発生します。
Q. Zilliz Cloudと自己ホストのMilvusは何が違いますか? A. 機能的なAPIはほぼ同じですが、Zilliz CloudはMilvusのインフラ管理を代行してくれるフルマネージドサービスです。自分でサーバーの監視・バックアップ・スケーリングをしたくない場合に向いており、Free Tierから始めて本番環境に移行できます。
Q. 他のベクトルDBと何が違うのですか? A. 最大の差別化ポイントはスケーラビリティと機能の豊富さです。1台のPCで数百万件から始まり、Kubernetesクラスターで数百億件規模まで同じコードで扱えます。また、意味検索+キーワード検索のハイブリッド検索やGPU加速、10種以上のインデックスをOSSで利用できる点が特徴です。
glossary — わからない用語があったら
related — 同カテゴリの人気エンティティ
スクリーンショットを渡すとそっくりなHTML/Reactコードを生成するツール。デザイン→コード変換の代表的OSS。
ChatGPT風UIのセルフホスト型チャットプラットフォーム。マルチプロバイダ・エージェント・RAGを1つのUIで扱える。
Python数行でAIデモの画面が作れるライブラリ。Hugging Face傘下で、機械学習デモの世界標準になっている。
OpenAIの音声認識モデル。多言語の文字起こし・翻訳に対応し、日本語の精度も高い定番OSS。
LLMアプリ開発プラットフォームのOSS代表格。ワークフロー・RAG・エージェントをGUIで構築し、APIとして公開できる。