TradingAgents OSS
TradingAgentsは、実際の証券会社の組織構造を模倣したマルチAIエージェント型の株式市場分析フレームワーク(OSSライブラリ)。ファンダメンタル・センチメント・テクニカル・ニュースの4種アナリストAIが協議して売買判断を導き出す点が最大の特徴。
spec — 基本情報
| github_stars | 92.8k |
|---|---|
| pricing | 完全無料・オープンソース(Apache 2.0)/ 別途LLMのAPIキー費用が必要 |
| license | Apache-2.0 |
| japanese | 不明 |
概要
TradingAgentsは、Tauric Researchが開発・公開しているオープンソースの金融市場分析フレームワークです。単一のAIに丸投げするのではなく、ファンダメンタルズアナリスト・センチメントアナリスト・ニュースアナリスト・テクニカルアナリスト・リサーチャー・トレーダー・リスクマネージャーという7つの専門AIエージェント(AIの担当者)がそれぞれ役割を持ち、情報を持ち寄って売買判断を議論・決定する仕組みです。2024年12月にarXivで論文として公開され、AAAI 2025のワークショップでも発表されました。GitHubのスター数は約9万2千超(2026年7月時点)に達しており、研究者・個人開発者の双方から注目を集めています。
従来の金融AIツールの多くは「1つのAIが1つのタスクをこなす」設計でしたが、実際の証券会社では複数の専門家がチームを組んで議論しながら投資判断を下します。TradingAgentsはその現実のプロセスをそのままAIで再現するアプローチを採用しており、強気(ブル)・弱気(ベア)それぞれ立場の異なるリサーチャーAIが討論を行い、リスク管理チームAIが最終チェックをかけてから判断を出力する多段階設計が特徴です。フレームワーク自体は研究目的で設計されており、実際の投資判断への利用は推奨されていません。
主な機能
- 7役割のマルチAIエージェント構成: ファンダメンタルズアナリスト(企業財務の評価)・センチメントアナリスト(SNS・ニュースの雰囲気読み)・ニュースアナリスト(マクロ経済ニュース解析)・テクニカルアナリスト(MACDやRSIなどのチャート指標分析)・ブル/ベアリサーチャー(強気・弱気の討論)・トレーダー・リスクマネージャーの7役が連携します。専門家チームが手分けして市場を読む、まるごとAI版の投資チームです。
- マルチLLMプロバイダー対応: OpenAI・Google・Anthropic・xAI・DeepSeek・Qwen・GLM・MiniMax・OpenRouter・OllamaによるローカルLLM・Azure OpenAIなど多数のAIモデルに対応しています。特定のAPIサービスに縛られず、無料のローカルモデルでも動作させられます。
- グローバル市場の銘柄に対応: Yahoo Financeがカバーする市場であればどの銘柄でも解析可能で、米国株・日本株(例:7203.T)・中国A株(例:600519.SS)など、取引所コードを付けるだけで使えます。
- ブル・ベア討論によるバランス分析: 強気(買い)・弱気(売り)それぞれの立場のリサーチャーAIが市場状況を議論します。一方的な楽観・悲観に偏らない、バランスの取れた分析プロセスを実現しています。
- チェックポイント機能付きの中断・再開: 分析途中で処理を中断しても、グラフの形状を保持したまま正確に再開できます。時間のかかる深い分析でも途中から再スタートできるため、API費用の節約にもなります。
- CLI・Pythonパッケージの両対応: コマンドラインから対話形式で銘柄・日付・LLMプロバイダー・調査の深さを選ぶだけでも使えますし、
TradingAgentsGraph()をPythonコードにインポートして自前のアプリに組み込むことも可能です。
- FRED・Polymarketなどの外部データソース連携(v0.3.0〜): 経済指標データベース(FRED)や予測市場(Polymarket)のデータも取り込んで分析に活かせます。複数のデータソースを組み合わせることで、より多角的な市場分析が行えます。
料金プラン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| フレームワーク本体 | 完全無料(Apache 2.0ライセンス) |
| 商用利用 | 可能(ライセンス条件の範囲内) |
| LLM APIキー | 別途必要(OpenAI・Anthropicなど、利用量課金) |
| ローカルLLM(Ollama)使用時 | APIキー不要・無料で動作可能 |
| 市場データ(Yahoo Finance) | 基本無料 |
| 市場データ(Alpha Vantage等) | 各サービスの料金に準ずる |
フレームワーク自体に月額料金やシート課金はありません。コストの大半はLLM API利用費で、ローカルモデル(Ollama)を使えばAPIキーなしで動かすことも可能です。詳細は公式サイト・各LLMプロバイダーの料金ページを参照してください。
導入方法
① リポジトリのクローンと環境構築
git clone https://github.com/TauricResearch/TradingAgents.git
cd TradingAgents
conda create -n tradingagents python=3.12
conda activate tradingagents
pip install .
② APIキーの設定
cp .env.example .env
# .envファイルを開き、使用するLLMプロバイダーのAPIキーを記入
CLI起動時にAPIキーが見つからない場合は、対話形式でプロンプトが表示され、その場で入力して保存できます。
③ CLIで起動(初心者向け)
python -m tradingagents
画面上で分析したい銘柄(ティッカーシンボル)・分析日付・LLMプロバイダー・調査の深さを選ぶだけで分析がスタートします。
④ Dockerで起動(環境構築が面倒な場合)
cp .env.example .env # APIキーを記入
docker compose run --rm tradingagents
⑤ ローカルLLM(Ollama)を使う場合
docker compose --profile ollama run --rm tradingagents-ollama
⑥ Pythonコードに組み込む場合
from tradingagents.graph.trading_graph import TradingAgentsGraph
from tradingagents.default_config import DEFAULT_CONFIG
ta = TradingAgentsGraph(debug=True, config=DEFAULT_CONFIG.copy())
_, decision = ta.propagate("NVDA", "2026-01-15")
print(decision)
こんな人におすすめ
- 「AI株式分析ツール」を自作したい個人開発者: プロのアナリストチームが行う多角的な分析プロセスをAIで再現したい人。Pythonのコードに組み込むことで、自分のアプリやダッシュボードに分析機能を追加できます。
- AI・金融工学の研究者・学習者: 論文ベースで設計された学術的なフレームワークのため、マルチエージェントAIや金融工学の研究・学習用途に最適です。再現実験や独自の改造ベースとして活用できます。
- 特定のAIモデルに縛られたくないエンジニア: OpenAI・Google・Anthropicなど主要LLMはもちろん、ローカルのOllamaモデルまで対応しているため、コスト・プライバシー・性能のバランスに合わせて自由にAIを選択できます。
- 日本株・アジア株も分析したい人: Yahoo Financeが対応している銘柄であれば取引所コード(例:トヨタなら7203.T)を指定するだけで使えます。米国株以外の市場にも対応しています。
よくある質問
Q. プログラミングの知識がなくても使えますか? A. 基本的なコマンドライン操作(ターミナルでのコマンド入力)ができれば、CLIモードは対話形式で使えます。ただしAPIキーの取得・設定やPythonの仮想環境構築など、最低限の技術的手順は必要です。完全なノーコードではありません。
Q. これを使えば実際に儲かりますか? A. TradingAgentsは研究目的で設計されたフレームワークであり、投資・金融アドバイスを提供するものではありません。分析結果は使用するLLMの種類・データ品質・市場状況などによって大きく変わります。実際の投資判断には活用しないでください。
Q. 日本語の出力には対応していますか? A. 設定ファイル(.env)のTRADINGAGENTS_OUTPUT_LANGUAGEを変更することで、出力言語を切り替えられます(公式ドキュメント・CHANGELOGより)。使用するLLMモデルが日本語に対応していれば、日本語での出力が可能です。
Q. OpenAIのAPIキーなしで動かせますか? A. はい。OllamaというローカルLLM実行ツールを使えば、APIキーなし・無料で動作させることができます。また、Groq・Mistral・DeepSeekなど低コストのAPIプロバイダーにも対応しています。
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